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私の転職体験記

A.T さん (聞き手)
ワイアットラクト(株)
代表 高橋俊夫

最難関と言われる企業に転職を果たしたA.Tさんに見る
MRの「市場価値」とは

新年最初の転職体験記は、製薬メーカーの中でも「最難関」と言われる某メーカーに、30代の半ばで転職を果たしたA.Tさんにお話をお聞きします。

(高橋) A.Tさんは、これまでの会社でも高い評価を受けていらっしゃったわけですが、そうした中でなぜ転職を考えたのか、といったお話からお聞かせいただけますか。
(A.T) きっかけは、他社のMRの方から転職の誘いを受けたことでした。今年(※この記事が掲載される時点では去年)になってから数社のMRの方から声をかけられるようになり、8月頃には1社から具体的に給与や勤務地の提示まで受けました。そうしたことがきっかけとなって、自分の市場価値というのはどの程度なのか知りたいと思うようになりました。
(高橋) そこで具体的にはどういうことから始められたのですか。
(A.T) 客観的に自分の市場価値を評価してくれるところを探しました。以前転職した先輩から、御社のキャリアカウンセリングで市場価値分析もしてもらえると聞き、興味を持ったのですが、ちょうどそんな時に、私の住んでいる地方でキャリアカウンセリングを実施するという案内をメルマガで見たものですから、キャリアカウンセリングに申し込みました。
(高橋) 私もこうした仕事をしていると「タイミング」とか「縁」ということを感じることが多いのですが、転職に関心を持った時期と弊社のキャリアカウンセリングのタイミングがピッタリと合ったわけですね。
(A.T) そうですね。今思えば、かなり偶然が重なったようにも思えます。
(高橋) それでキャリアカウンセリングを受けてみて、いかがでしたか。
(A.T) これまでの私のMR活動の内容をかなり具体的に聞いていただいた上で、私の市場価値について「現状より100万円程度は年収アップが可能」と言われました。MR専門のキャリアコンサルタントの方が、具体的な私のMR活動やそれによる実績に基づいて評価していただいた結果でしたので、このことで「転職」ということを、急に現実的に考えるようになりました。
(高橋) そこからは、どんなことを?
(A.T) 先ずは家内に相談しました。私の父は転勤族でしたが、転勤族の家庭では、家族の理解が仕事面でも大きな影響を与えると感じていました。MRも、転勤ということが切り離せない仕事ですので、家族の理解が一番大切だと思っていましたから。
(高橋) なるほど。で、奥さんは何と?
(A.T) とても喜んで賛成してくれました。年収アップもそうですが、元々今の土地を離れたがっていたのも賛成してくれた理由の一つだと思います。
(高橋) そこで奥さんの賛成を得られたのは大きかったですね。
(A.T) ええ、そう思います。ここで反対されていたら、少なくとも今回は、それ以上具体的な転職活動には踏み出せなかったかもしれません。
(高橋) そこから今度は、具体的な転職先選びに進むわけですが、これまでは専門MRとして活躍してこられたわけですから、やはり転職先もそうしたキャリアを活かせる企業を候補に考えたのですか?
(A.T) 基本的にはそういうことです。同じ領域で、これまで気になっていた企業が2社ほどありましたので、先ずはその2社を転職先の候補と考えました。
(高橋) ただ、今回の転職先はその2社のどちらでもなく、それにこれまでの領域の専門MRでもありませんよね。どうしてこの企業に転職することになったのですか。
(A.T) 確かにこれまでの専門領域はたいへん面白く、魅力的だったのですが、ただM社(※今回の転職先企業)だけは、将来性やMRのレベルなど様々な点で私の中では「別格」というイメージを持っていましたので、この会社であればこれまでの領域専門MRとしてのキャリアから離れてもチャレンジしてみたい、という気持ちが強くありました。
(高橋) なるほど。で、今回の転職先は、キャリア採用ではかなりの難関と言われているメーカーですが、そこでの面接を突破できた理由は、どんなところにあったと思われますか?
(A.T) 実際、かなり掘り下げて質問をされましたので、面接が終ったときの手応えとしては「五分五分かな」という感じでした。それでも、日頃から自分が他の人と違いを出そうと工夫しながら活動してきたことを、自然体で率直に話したことが結果的に良かったように思います。
(高橋) それは、面接の場でのノウハウとかではなく、面接で伝える「中身」を、日頃のMR活動の中で蓄積していくことが大事だと?
(A.T) 言ってみればそういうことかもしれません。実際の事例に関して、具体的にどんなふうに取り組んだのか、といったことを細かい点まで聞かれましたので、具体的なエピソードとして自分の強みなどをアピールできる材料が無いと、面接を乗り切るのは難しいと感じました。
(高橋) 転職理由や応募動機についてはいかがでしたか。
(A.T) この点もかなり突っ込んで聞かれましたが、先ほど言いましたように、私はこの会社に対して以前からいわば「憧れて」いましたので、ここでも自分の気持ちを率直に伝えました。
(高橋) そうしたホンネの想いは、自然に説得力を持つということでしょうね。
(A.T) そうかもしれません。
(高橋) A.Tさんに対する面接の中で、企業はどんなことを確認したかったと感じましたか?
(A.T) そうですね、一言でいうと「私を採用した場合にどんなメリットがあるか」という事を確認したかったのではないかと思います。中でも、「周囲に対して良い影響を与えられるか」という点に関心が高かったように感じました。それに、ちょうど今後は、私が専門的にやってきた領域を強化していきたい、という意向があったようですので、その領域での私の実力といったことにも、かなり関心があったのではないかと思います。
(高橋) キャリア採用のハードルの高い企業の場合、観点は単に「MRとして成果を出せるか」だけではなく、「組織への波及効果」という点まで関心を持って面接をしているということですね。
(A.T) そんな感じを受けました。
(高橋) 最後に、何かアドバイスのようなことがありましたらお願いします。
(A.T) アドバイスというか、私が今回の経験で一番感じたのは、どんな環境でも一生懸命やることが大事だということでしょうか。私が担当していたエリアは、東京などから遠く離れた地方で、市場もそんなに大きくないところでしたが、それでもクサらずに、成果をあげるために一生懸命取り組んできたことが、他社のMRの人たちからも認められるようになり、それが今回の転職のきっかけにもなりました。また、そうした取組みによって、面接で自分をアピールできる材料の蓄積にもなりました。もちろん転職を意識してこうしたことをやってきたのではありませんので、転職の成功は、あくまでもこうした取組みの一つの結果だと思います。
(高橋) そうですね、面接で企業が確認したいのは、売上高の大きさとかいった結果そのものではなくて、あくまでもそうした結果を出す上での「本人の身につけている強み・実力」ですから、環境に恵まれなくても、とにかく実力を身に着けることに専念すれば、キャリアアップの道は開けるという、良い例といえると思います。本日はありがとうございました。新しい職場でも頑張ってください。

<インタビュー後記>
今回のA.Tさんのお話では、「ホンネの説得力」ということを強く感じました。
30代半ばで転職される方がかなり苦労する「転職理由の説明」でも、自分の憧れをホンネで伝えることで軽々とクリアされていますし、具体的なMR活動をどんどん掘り下げて質問される「コンピテンシー面接」と呼ばれるタフな面接にも、日頃から他の人と違いを出そうと工夫しながら活動してきたことを自然体で率直に話すことで乗り越えています。日々多くのMRと会っている面接官を納得させるには、具体的なエピソードに裏打ちされた自己アピールや、正直な熱意といったものが効果的であると改めて感じました。そうした「ホンネ」で勝負するには、やはり常日頃から「成果を出すために真剣に取り組む」ことや、自分の今後のキャリアを真剣に考えるといった、真摯な姿勢が不可欠であり、そうした姿勢は転職の場面でもモノを言うということですね。


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